過去に最も引用された論文とは?

引用とは、研究者が論文中で自分の手法やアイディアの根拠を示すためのものである。例えば、「ここまでは—により調べられている。しかし、我々は更に~~について着目し……」や、「分析手法として–法を採用した」などという形で、既に発表されている論文をとりあげる。

ある論文が引用された回数(被引用数)が多いということは、それだけ他の研究者に注目されていると言い換えられる。そのため、この被引用数によって論文の大まかな評価をすることが出来る。つまり乱暴に言えば、研究者たちは被引用数の多い論文を書くことに心血を注いでいるのだ。

被引用数の多い論文というのはどういうものなのだろうか?アインシュタインの特殊相対論やディラック方程式、DNA二重らせん構造の観測、高温超伝導などのノーベル賞級の理論や発見ばかりなのだろうか。トムソン・ロイターのWeb of Scienceのデータベースに基づき、natureが発表した情報(The top 100 papers)によると、上述のどれもTOP100にはランクインしていない。

もっとも被引用件数が多いのは、溶液中のたんぱく質の定量法に関する論文で、なんと約305,000回引用されている。また、ランクインした論文の多くは、それぞれの分野で基礎的に用いられている実験手法やソフトウェアであることがわかる。

学術論文の数は膨大であり、1900年以降に発表されたものだけに限っても、すべての論文の初項を積み重ねていくと、キリマンジャロ山ほどの高さになるという。この中でもTOP100の論文の被引用数は極めて異質であり、TOP3となると更にずば抜けている。一方で、一度も引用されていない論文は約半数を占めるという。

 

top100
THE PAPER MOUNTAIN (“The top 100 papers“, nature.com)

 

ランキング上位の論文とそうでない論文を区別するものは何なのだろうか。これについては本文にも少し書かれているが、以前私も物理系研究者の先輩とこれに近い議論をした記憶がある。ノーベル賞級の超有名論文の被引用数がそれほど伸びないのは、もはやその分野の人間にとって常識となってしまった理論や発見が多く、またそうなるまでにかかる時間が極めて短いためであると考えられる。例えば、論文中にシュレーディンガー方程式を記す際にわざわざ引用をすることはまずありえない。教科書にも載っていて、だれでも知っているからだ。

 

興味深い記事を見つけた。
<論文紹介> Google Scholarはニセ論文にだまされるか? 研究者が自分の被引用回数やh-indexを不正操作できるか、スペインの研究グループが実験

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